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「日本から見える韓国像と実際の韓国の違いについて」
 まず初めに、このレポートのテーマを確認させてください。私の選んだテーマを簡単にまとめると、「日本で得られる情報から想像される韓国像と実際の韓国の違いについて」というものです。このテーマを追っていくうちに発見したことは沢山ありますが、一つづつ書いていくと箇条書きになるので、大きく分けて三つの違いについて書かせてもらいました。なぜこの三つを選んだかというと、ひとつは日本にいた時から目立った噂についてだからで、もうひとつはできるだけ多くの発見について網羅できるような内容のものだったから、というのが理由です。そもそも、テーマ設定からして簡潔に書くことの困難が予想されたレポートです。御笑読いただければそれ以上の喜びはありません。
 韓国へ行く前、私は韓国人という文字の隣に「荒々しい」という言葉をよく見かけました。ニュースでよく見かける社会問題のせいなのか、韓国語の発音が日本人には激しく聞こえるせいなのかは分かりませんが、現地でしばらく生活してみて、私はこの表現に違和感を覚えました。韓国で滞在している間に通っていた学校では、留学生の私のために色々なことを考えてくれたし、ホストステイ先の方々は本当に細かいところまで気を使ってくださいました。友達とスケートリンクに行った時、私の忘れかけた傘を、友達が気が付いてくれました。私が友達にお礼を言うと、それはホストマザーに言ってくれとその友達に返されました。どうやらホストマザーは私の性格をよく分かってくれていたようで、わざわざ一緒に行く友達に面倒を見てくれるようお願いしてくれていたらしいのです。ホストマザーには日頃から細やかな使いをしていただいている上に、まさかここまで面倒を見てくださっていると思っていなかったので、私は驚きました。ホストマザーと友達の親切に、情けなさよりも感謝の念が勝ったのを覚えています。 とはいえ確かに、韓国の人が「荒々しい」と見えるのも仕方がないと思うこともあります。なぜなら、韓国の人はせっかちだからです。バスを乗るときには、扉が閉じる前にバスが発車したりすることも度々あり、座ってもいない人が何事もないかように揺れる車内を移動する姿を見て、あぁ、たくましいな、なんて思わされることも何度かありました。他にも、コンビニの店員は陳列からレジ打ちまで一人ですることが多いようで、陳列棚の前に置かれたままの段ボール箱が、店員さんの忙しさを物語っているように思われることもありました。商品棚の前に箱を置かない日本のコンビニから考えると、雑だと思われてもおかしくない光景でした。でもやっぱり、穏やかな雰囲気で接客する韓国の店員さんや、困っていそうな人に声をかけるバスの運転手さんを見ると、「荒々しい」という言葉は似合わないと私は思わされます。
 他に日本でよく聞く韓国のことと言えば、「上下関係」についてです。韓国は上下関係がとても厳しいとよく聞きます。そしてそれは、現地に行って生活してみても、本当にそうだと感じました。そもそも、韓国語自体が年上と年下できっちりと分かれていることからも、そのことが明らかです。実際に、私も何度か失敗しました。韓国語で「もう一度言ってください」は「タシ マル ヘジュセヨ」といいます。同年代の友達と話すとき等は「もう一回」を意味する「たし?」と言うだけでいいのですが、先生などにはきっちりと言わないといけません。先生に話しかけられたとき、私は間違えて「たし?」と口にしてしまったのですが、これが予想以上に笑われ、先生だけでなく生徒の笑い声が教室の中で響き渡りました。予想以上の笑われっぷりに、韓国語、ひいては韓国人の上下関係の固さが浮き彫りになるのを肌で感じました。 もちろん、その徹底ぶりは振舞からも窺うことが出来ました。韓国の方たちが握手をするのを見ていても、年下の方は手を添えることを忘れません。右手を出して、左手を添えます。私は韓国語が話せないので何を言っているのか聞き取れませんでしたが、私服姿の人達が握手をするのを近くで見ていたことがあります。二人とも年齢は同じくらいに見えたのですが、片側の人はきちんと手を添えていました。年齢までちゃんと確認してから、相手との初めの握手をするのですね。年齢には重きを置かず、人との関係に親密さを出す欧米の方達とは本当に真逆です。「幼稚園児でも敬語は話す」と言われる韓国人の礼儀とともに歩む姿を、自然な左手の動きに垣間見た気がしました。 そして、日本で、というより世界中でもよく話題にされる韓国の一面といえば、「受験の激しさ」です。韓国にある私の学校の提携校も、受験勉強に毎日全力を出しているそうです。聞いていると生命の危機を疑うようなスケジュールが、日本でもよく噂されており、私もとても興味がありました。  しかし残念なことに、私の滞在中、受験生の勢いを実際に確認することはできませんでした。でもやはり気になって韓国の人に聞いてみたところ、韓国の受験勉強は、高いところを目指す人はかなり熾烈だと答えてくれました。私はその言い方を、上を目指さない学生達はそこまで熾烈でない、という意味で解釈しました。韓国の受験競争はどこもかしこも激しい、という答えを予想していた私には、少し意外に思われました。ですが、通っていた韓国の高校で毎日を過ごしていると、なんとなく正しいように思われました。韓国の高校には筆記等の受験がないため、生徒の実力にばらつきがあるのは当然とは言え、勉強ができる生徒と苦手な生徒との差が随分と大きいように見えました。クラスの友達と英語で筆談をしてみてもその差が明確で、完璧な文法で英文を綴れる人もいれば、辞書や隣にいる他の友達を総動員して英文を作ってくれる人もいました。私自身も良い例ですが、どこの国にも成績の悪い生徒がいるのは当たり前です。ですが、各個人で見た時、韓国での成績不振は日本での平均的な実力ではないかと勝手に思っていた私には、一部の生徒がずば抜けて優秀というこの当たり前のことが意外に思われました。でも結局、学歴の価値の高さが日本と比べ物にならないことに変わりはなく、そんな世界で生きている韓国の人達の強さは、私の中のどんな語彙を使っても形容できないようにさえ思われます。
 それに、韓国の友達とコミュニケーションを取る中で、韓国の人が勤勉だと言われる所以は、学校の勉強だけではないということに気が付きました。私が居たクラスは日本語選択でしたが、本当に日本語に興味のある友達は、学校の授業に関係なく日本語を勉強しており、英語は話せないから日本語で会話しよう、と言う人も驚く程いました。他にも、歴史が好きで、選択科目外の知識まで膨大に持っている人、高校では習わないような化学や物理を興味で調べまくる人、自力でプログラミングを組む人等々、そんな人がゴロゴロいました。中でも驚いたのは、本が好きな人です。一緒に書店へ行ったとき、見かけた本を手に取って本当に片端から説明してくれました。彼は書店で生活しているのではないか、とまで思われました。それに、既に社会人となったホストペアレントの寝室から、英語のリスニング問題がよく漏れ出ていたことも忘れられません。韓国には、受験の熾烈さより前に、一つのことに心を傾ける勤勉な性質があるのだと、痛感しました。
 以上より、私は日本人の中にある韓国像がどれほど違うのか、簡単ではありますがまとめてみました。聞いていた通りのこともありましたが、どうしても解せない程日本で得た情報と違うところがあり、正に目から鱗の経験でした。でも何より、韓国の人は靴の踵を扉に向けて揃えるだとか、韓国人の英語の発音は「a」が「え」の発音のほうに近いだとか、そういう小さなことが一つ一つの歯車になって、一つの大きな「国」として動いているのをこの目で見ることが出来たのが何よりよかったです。今回のこの韓国でのホームステイを通して、私は本当に多くことを経験し、そして沢山の友達が出来、私の中では納得できる、否、それ以上の経験をすることが出来ました。まだまだ書き切れていないことが多すぎて、自分の鈍さと文章力の無さを恨めしく感じるほどです。友達がくれた楽しいこと、このレポートも含めた大変なこと、全部ひっくるめて本当に実のある経験でした。この留学に参加して、自分も一つ脱皮できたと思います。本当に良かったです。

ホストブラザーに韓国の受験制度を聞いた時のメモ。
友達が私の質問を教室の黒板に書いて回答を募ってくれた。 これが会話の接ぎ穂になって、多くの人が私に話しかけにきてくれた。