奨学生 4月の月次レポートを掲載しました

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年4月)

 

 

立命館大学大学院スポーツ健康科学研究科身体運動科学領域専攻

博士前期課程(M1)

I Wayan Yuuki (イ ワヤン ユウキ)

 

1.研究内容について

 

 

 この度、かめのり財団の奨学生に採択されました。ワヤンと申します。レポートを書くこと自体がはじめてのため、本稿では簡単に、私の修士課程での研究や進捗状況について言及できればと考えています。

 

 私は、修士課程では、栄養と運動の一過性介入が認知機能に及ぼす一時的な効果と、これらが習慣化された際に慢性的な脳の健康(ブレインヘルス)へとどのように影響するかを検証していきたいと考えています。仮に、一過性効果が大きければ、慢性効果も大きい(一過性と慢性につながりがある)ことが明らかになれば、認知機能向上を目的とした新たな理論の構築や栄養処方が確立できると考えています。そして、これは科学的根拠に基づいた運動処方と栄養処方を具体化し、実践的なブレインヘルスケアの手法を開発することを目指すことが可能となります。すなわち、本研究から得られる知見は、一過性の効果から慢性的な影響へと進む過程の理解を深め、効果的な健康管理戦略の策定に寄与できると考えます。さらに、私の研究は地産地消の資源を利用することを考慮に入れており、地元経済の活性化と国民健康の向上の両方を目指すという社会的責任も含んでいるという点も魅力です。

 

 そして、今、私は前述した研究を実現するために、2024年度の春学会は、文献の解読を進めたり、他分野の方々とディスカッションする機会を通じて、自分の研究のブラッシュアップに努めています。さらには、私の研究科では、能動的な学習が中心であるため、自ら問題を解決したり、議論に参加したり、発表する機会に非常に恵まれています。この春学期は、他者との交流を高め、多角的な視点で “研究” を観察する力というものを身に付けていければと思っています。また、今年度の7月上旬にスコットランドのグラスゴーにて開催されるヨーロッパスポーツ科学学会(European College of Sport Science Glasgow 2024)にて学会発表を予定しております。ここでは、卒業論文の1つとして取り組んだ「習慣的な運動と栄養摂取がもたらす認知機能への影響」について発表する予定です。嬉しいことに、学会の抄録が若手研究者賞(Young Investigator Award)のファイナリストとして残りました。有意義な時間となるよう、準備に全力を尽くして挑んでいければと思っております。

 

2.生活について

 

 4月の上旬は、在留にあたる書類の申請などに追われていましたが、それ以降はTA業務、実験、被験者体験など多くの新しいことを体験して非常に充実した毎日を送っています。特に、私の配属研究室では、同期が5人もおり、それぞれ入試方式が異なります。内部進学の学生、社会人経験者、他大学からの転入生、早期卒業者、そして留学生である私です。毎日、個性豊かな同期と昼食や夕食で談笑しながら、語り合うのが日課です。そして早速ですが、今月末は授業も本格的に開始し、人前でプレゼンテーションする機会が多々ありました。さらには、最新の論文の解読を通じて、新しい発見をしたり、セミナーを通じて新たな出会いが生まれたり、刺激ある毎日です。これから沢山の物語がはじまると考えると非常にうきうきします。大学院生活も私生活も充実したものにしていきたいです。この2年間、仲間と助け合いながら、切磋琢磨し合いながら、夢に向かって、スタートを切っていければと思っております。

 

 

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年4月)

 

 

お茶の水女子大学大学院・比較社会文化学専攻

博士二年

曹怡(ソウ イ)

 

 4月6日に今年度の証書授与式と懇談会が行われた。久しぶりにみんなと会い、交流することができ、とても嬉しかった。

 今年は三人の新奨学生が入り、グェンさんと日本語指導について色々経験譚を話すことができ、勉強になったことが多かった。外国人の子供たちは日本語が分からない状態で日本に来て、言語が通じない上に、学校生活で周りの人間関係にも悩んでいるだろう。日本人の子供、または、早く日本に来た同じ国の子供たちにいじめられる可能性もなおざりにしてはいけない。私たち教師側にとって、普段日本語の指導のみではなく、彼らの生活や心理的な面にもサポートが必要だと、お互い切実に思っていた。

 

 来月の国文研の発表に向けて準備している。学校のゼミでリハーサルをし、先輩方から様々な意見をもらい、今まだ調整段階である。漢詩の読み下し文について、間違っているところが多く、ゼミ中に指摘いただいた。今後も注意しながら、漢文訓読の能力を鍛えなければならない。また、今回発表する内容は和歌、漢詩、絵画、扇、様々の面にも関連するため、話の内容が節ごとに変わり、一見バラバラな印象があるかもしれないが、より分かりやすく理解できるように、まとめの図様を作っている。なお、学会発表のワード資料と違い、今回はパワーポイントを使って発表を進めていくという形であるため、パワーポイントの作り方にも苦心している。

 今月は和漢比較文学会の学会に参加し、上代から近世まで幅広い発表を聞いた。専門の知識以外、発表者の発表の構成や話のテクニックについても、非常に勉強になった。

 

 今年の桜の開花は例年よりずっと遅く、証書授与式の日はちょうど満開に、綺麗な花びらの下で新学期を始めた良い気分だった。今年は遠出せず、都内で花見をした。新宿御苑、上野公園、千鳥ヶ淵、神高川など、週末に色んな名勝地に回っていた。初めて千鳥ヶ淵の夜のライトアップを見ることができ、雲のように咲いているかたまりの桜の花と青いライトと相性がよく、川の上は幻のように見えた。二十時になると、一気にライトが消され、なんと物寂しい感じをした。

 また、鉄道協会が開催した「留学生の地方鉄道旅」というプロジェクトに応募し、選ばれるようになった。来月は鉄道の旅行をし、旅の後、ホームページ宣伝用のレポートや写真、またはビデオを作り、提出することである。自分で計画を組み立て、上信鉄道を利用し、群馬県の富岡地域にした。富岡製糸場やこんにゃくパークなど見学しにいき、地方の文化魅力を体現できるのに楽しみにしている。

 

 ゴールデンウィークに友達と京都へ行くつもりである。京都へ行くのはもう五回目だが、依然として多くのお寺や神社にまだ足を運ぶことができず、参拝したい計画を立てることに対し、取捨選択に難しいと感じた。今回は南禅寺と相国寺、また、宇治の源氏物語博物館に行ってみたい。雅で精緻な古都を存分に味わい、なんらかの研究のインスピレーションをもらえばと思う。

 暑い日々が続き、夏の到来がこんなに早いなんて、完全に半袖になった季節となった。これまで以上に一番努力を出さないと、という実感が湧いてきた。来月の本番の発表と論文の執筆に、順調にできるのを善処する。

 

2024年4月27日