奨学生 5月の月次レポートを掲載しました

 かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年5月)

 

 

                      筑波大学大学院人間総合科学学術院教育学学位プログラム

                                    博士後期課程(D1)

                                   甄 卓榮 (ケン タクエイ)

 

1.研究内容について

 

 今月は、博士論文構想発表会に向けて研究計画を見直しつつ、日本の学校制度や教師教育について文献を読んでいます。

 

 筑波大学の教育学学位プログラムでは、博士後期一年目の院生を対象に、毎年5月に「博士論文構想発表会」が開催されます。十数名の院生が事前に博士論文構想を提出し、発表と指導が行われます。教育学系の先生がほぼ全員出席するため、研究が共有され、意見が交換される重要な場です。特に社会科学の研究が細分化されている現状において、自分の研究の学問的意義を見直すことができる点が、とても有益だと感じました。自分の博論構想を発表する際、教育哲学や歴史教育の先生たちから鋭い質問を受けました。もっと丁寧に先行研究を読み、その問題点を明確にしなければ自分の研究のオリジナリティも確立できないと改めて感じました。また、近年のテーマが類似する博士論文を多く参考にする必要も感じました。発表会の後、教育学学位プログラム院生と先生たちの懇談会が開催されました。研究内容とは別に、お互いに交流を深める機会であり、珍しく他の研究室の院生と話すことができました。道徳教育や教育哲学の先輩とコーヒーを飲みながら楽しく話しました。自分の研究を人に紹介するたびに、自分の認識が整理され、課題も明確になると感じました。

 

 5月は予定通りに学校見学に行くことが出来ず、文献を中心に研究を進めました。竹内敏晴の「教師のためのからだとことば考」という、今から見ると一風変わった本を読みました。竹内さんは、子どもの「からだ」が制約されている現状(本の書かれた1990年代ですが)を切り口として、「からだ」の感受性や「からだが語ることば」を重んじる教育を提唱しています。欧米から始まる批判的教育学の文脈でこの本を読むことももちろん可能ですが、かなり日本の文脈を意識して近代的心身関係を論じた点が面白いと思います。私は日本に来て色んなスポーツを参加してきましたが、日本の体育教育の優れたところに気づいた反面、竹内さんの指摘した問題が体育教育への重視だけで解決できるのかという新たな疑問が生まれました。「のびのびと成長する」とは何でしょうか。身体と権力の関係、スポーツで体験した包摂と排除や自由と強制に注目する必要があるのではないでしょうか。自分の研究と繋げて言えば、(身体から切り離された)言語だけを分析する研究手法の限界をどうやって突破できるかを考えたいと思います。

 

2.生活について

 

 4月末には初めて車を買いましたので、少し遠くまで旅行することができました。地理が好きなので、いつもグーグルマップで近辺の様子を調べていますが、地域を知るために、やはり実際に道を走ったり、目で見たりすることが大事だと思います。水田に挟まれた道を抜け、国道や高速を走って、水戸や大洗、宇都宮、日光まで行ってきました。北関東ってこんなところだ!と感慨深く感じました。いつもと違う景色を見て、人に出会うことで、生き方の多様性を体感しました。

 

 5月もサークルの新歓活動に多く参加し、スポーツをしたり、新入生にご馳走したりして、人との出会いから学び、励まされています。

 

 

 

 


 

かめのり大学院留学アジア奨学生

月次報告レポート(2024年5月)

 

 

 

横浜国立大学大学院環境情報学府自然環境専攻

博士前期課程(M2)

CHEN ZIYAN (チェン ジアン)

 

一.研究生活

 

 今月は、5月14日のDC1提出資料の作成と24日の研究室ゼミ研究発表に向けて、頑張って行った。DC1の資料については、結局提出をしなかったが、博士進学する場合にどのようなテーマについて関心を持って研究していきたいかについて、はっきりさせることができた。今後進学の試験を向けて、きちんと研究計画を作るようにしたいと思っている。

 

 研究発表について、まだデータを採取しに行っておらず、解析の結果や考察についてまだ書けないので、今回の発表はまたイントロを直して完備するようにした。前回と比べて、先行研究を充実させることができたが、ストーリーのロジスティクスはまだ改善する必要があると指摘された。自分はいつも里山から研究を紹介しているが、里山という具体的な環境から始まると研究が局部的になり影響力が少なくなるので、これからの改善として、森林の中の人工林という切り口から始めようと思っている。

 

 5月は植生調査にも行ってきた。去年から植物認識の経験を積ってきて、今年自分は一人前になったので、チームをリーダとして植生調査をした。ときに不安に思ったが、結果的には大丈夫だった。6月の研究予定としては、調査地で草刈りを実施し、土壌の調査を始めたいと思う。一番忙しい時期になるので、これからちゃんとスケジュールを組んでから毎日を過ごしたいと思っている。

 

 また、うちの研究室は5月に2回、海外の研究者を招待した。1回目はチェコの花を研究している研究者で、2回目はニュージーランドの砂海岸を研究している研究者たちだった。特に、自分は花の研究者Dr. Martinの調査に一緒に行ったので、花の研究を行う時に利用される道具や、撮影方法を勉強できた。海外の研究者と話し合って、英語力がまだ足りないと感じたので、これからも引き続き英語の学習をしたいと思っている。

 

二.日常生活

 

 ゴールデンウイークには予定通り、5月4日みどりの日の無料開放を使って葛西臨海公園水族園に行ってきた。

 

 

 マグロ群れの食事時に動きと泳ぐ動きを観察した。特に面白く感じたのが、急ブレーキするときに背びれが背中から出てきて減速する仕組みを持っていること。あらためて自然の不思議を感じた。右の写真は友達とカニ狩りする時、獲物いっぱい時に写真だ。実際当日使ったのは、全部海岸のごみであり、釣り用の釣り道具は他人の捨てた物で、餌は森林側の道沿いから拾った死んだミミズ、ケースは岩の近くに捨てられたプラケースだった。楽しく釣った後、カニの家族を解放し、釣り道具を近くに見ている子供を渡して、ケースをゴミ箱に捨てた。環境保護がちゃんとできてうれしかった。


 ゼミ前の日に、中国から旅行しに来る友達が横浜まで来たから、一緒に伊豆半島の大室山に行ってきた。当然のことながら、ドライバーは運転好きな自分だった。ご存じの通り、その一週間はほぼ毎日曇りだった。しかし、あの日は偶然にあるスポットに行って、ちょうど雲が晴れたおかげで、素敵な富士山の写真を撮ることができた。みんなが「日本にいる一週間に、この一瞬を見られただけで満足だ」というぐらい満足だったようなので、自分もとても嬉しかった。写真は以下のようにシェアしたいと思う。

 

 

 場所は大観山展望台で、人が少なくとても素敵なスポットなので、ぜひ、機会があったら行ってみてください。


 5月30日は、周知のとおり、第67回逗子海岸花火大会が行われた。その前の日に台風が来るかと心配したが、結局は大丈夫だった。自分がバイクを買ってから毎年逗子花火を見に行っているが、と言っても今回は2回目、今年は駐車してからちゃんと海岸まで歩いて、真正面から花火を見た。海岸まで歩いたおかげで、とても素敵な花火大会を見た。無料で行ったが、有料席の体感を得てとても嬉しかった。写真一枚をシェアしたいと思う。機会があれば、ぜひ、来年逗子へ。

 


 最後はDr. Martinと調査するときに、横浜の四季の森公園で自分が撮影した昆虫と花の写真をシェアしたいと思う。四季の森公園は自然が豊かな場所で、里山を保全するために農業体験場所なども設置しているようだ。その近くに、モネの作品のような景色がある里山ガーデン、オカピがいるよこはま動物園ズーラシアもあるので、良かったら一日をかけて横浜で豊かな自然を楽しんでみてください。