【報告】「第38回フィリピン日本語教師フォーラム」に協賛しました

 かめのり財団は、国際交流基金マニラ日本文化センター(JFマニラ)とフィリピン大学言語学科が主催する「第38回フィリピン日本語教師フォーラム」への協賛を行い、カリフォルニア大学サンディエゴ校の當作靖彦先生が日本語教師向けのワークショップを行いました。

 


報告:国際交流基金マニラ日本文化センター

藤光由子(日本語上級専門家)

 

 2024年3月13日(水)、第38回フィリピン日本語教師フォーラム(Philippine Nihongo Teachers’ Forum:略称PNTF)が、国際交流基金マニラ日本文化センターとフィリピン大学言語学科との共同主催により、フィリピン大学言語学科の施設を会場に実施され、平日にも関わらず60名を超える幅広い層の参加者を集めました。

 教育の本質に切り込む「評価活動」をテーマとしたプログラムは、レクチャー、実践共有(ポスター発表形式)、アセスメントデザインの実践ワークショップ、という3部構成。非常に内容が濃いものでしたが、當作先生の教師の心を深く揺さぶるメッセージと明晰な論理展開、フィリピン大学の教員の方々の卓越した司会進行、優れたチームワークとファシリテーションに支えられ、冒頭から閉会まで、参加者のモチベーション、集中力は途切れることはありませんでした。参加者エンゲージメントの高さが印象に残るフォーラムで、実際に参加者アンケートでも全体評価で非常に高い満足度が示されていました。

 

 

 冒頭の當作先生のレクチャーでは、評価のパラダイムシフトをめぐる重要な概念がひとつひとつ説き起こされていきました。形成的評価には実にさまざまな方法があり、「活動の前、途中、後でも行うことができる」。そして学習を促進すると同時に「教師の教え方の改善のデータを提供する」ものだということ。「評価が変われば教育が変わる」。「いいアセスメントができたら、いい教育ができる」。そして、教師研修の意味とは「考えられる教師になること」であり、「考えられる教師が考えられる学生を育てる」ことができるということ。これらは、フォーラムでの気づきや学びを綴った参加者の言葉です。

 

 

 昼食後のポスター発表セッションでは、参加者はフィリピン各地の発表者との出会いと交流を楽しみながら、アセスメントデザインについて、より身近に自分ごととして考えることができたことと思います。続いて行われたワークショップでは、参加者は午前中のプログラムで得た知識を応用してグループで協力しながら形成的評価のデザインに取り組み、その成果を共有し批評し合うことができました。

 さらに、主催者として大変喜ばしく思いましたのは、本フォーラム終了後、それぞれの所属する団体・機関で、フォーラムでの学びの共有を目的とする報告会を開催してくださった参加教師が複数いらっしゃったことです。国際交流基金マニラ日本文化センターでも、「評価」について実践の中で探究していく「先生の輪」を広げていこうと、継続的な学び合いの機会を提供できるよう計画を進めています。

 

フィリピン大学ディリマン校 言語学科ウェブサイトの報告記事はこちら(英語):

JFM, UP Lingg hold 38th Philippine Nihongo Teachers’ Forum


 

実施概要

第38回フィリピン日本語教師フォーラム(PNTF)
日程: 2024年3 月13日(水)
会場:フィリピン大学言語学科、マニラ
対象:現職教師(所属は中等教育機関、高等教育機関、技術教育センター、日本語学校ほか)および教師志望者
主催: 国際交流基金マニラ日本文化センター、フィリピン大学言語学科
協賛団体: かめのり財団