【報告】高校生カンボジアスタディツアー2024

高校生カンボジアスタディツアー ~5年振りにカンボジアへ~

 

 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟との共催で、2024年7月30日(火)~8月5日(月)に、2019年度以来5年ぶりとなる現地ツアーが開催されました。全国から選抜された10名の高校生は、約1週間のカンボジア滞在で多くのことを学んで帰国しました。帰国後はそれぞれがスタディツアーの経験を学校内外に伝える事後活動に取り組んでいます。

 


 

報告:日本ユネスコ協会連盟 学校支援部 柴田香里

 

 成田の事前研修会場に集まった高校生たちの表情にはやや緊張感が見られました。しかし、ワークショップや事前学習の発表を通して仲を深め、カンボジアへ向かう彼らの目は高揚感で輝いていました。

 

 2日間滞在した首都プノンペンでは、日本国大使館、UNESCOプノンペン事務所への表敬訪問、ツールスレン虐殺博物館やキリングフィールドといった「負の遺産」の見学、そして美しい国宝が並ぶ国立博物館の見学を行いました。生徒たちは事前にポル・ポト政権下での悲惨な歴史を調べていましたが、実際にその歴史が繰り広げられていた舞台に足を踏み入れることで、想像をはるかに超える強い衝撃を受けていました。そして、「人権と自由が守られることが当たり前として過ごしている今、この環境をより大事にしようと思えたとともに、今後同じような出来事を起こさないよう私達には自分事として歴史と向き合っていく必要があると思いました。」など、平和や人権を守っていく決意の言葉が多く聞かれました。

 

 

 シェムリアップでは、寺子屋や寺子屋学習者の自宅訪問、アンコール遺跡群の見学など、国際協力の現場を視察しました。リエンダイ寺子屋では、小学校クラス、中学校クラス、大人向けの識字クラスの授業見学のほか、折り紙や扇子の絵付けを通して学習者と交流しました。学習者との交流で、たとえ言葉が通じなくても、「笑顔」と「伝えたい」という気持ちがあれば、心を通わせて打ち解けられることを実感した生徒たちは、自ら積極的にコミュニケーションを取りにいっていました。また、識字クラスで学習している大人から言われた「文字を読めたら子どもに教えられる」、「文字が読めないのは目が見えないのと一緒」という言葉が深く刺さったようで、「学ぶ」ことの意味を改めて考えていました。

 

 

 最終日にはツアーで学んだことをまとめた発表を行いました。短時間での準備となりましたが、全員が堂々としており、事前学習の発表と比べて一言の重みが違いました。1週間という短いツアーでしたが、百聞は一見に如かず、本物を見て触れるという経験がいかに大事かを物語っていました。ツアーそのものは終了しましたが、参加した高校生たちの学びは続きます。学校内外での事後活動を通して更に多角的な視野と経験を養い、国際社会で活躍する人材になってくれると期待しています。

 

 

 最後になりますが、このような貴重な機会と出会いを与えてくださった、かめのり財団をはじめとする関係各位に御礼申し上げます。

 


 

プログラム概要

 

1.主催:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、公益財団法人かめのり財団

 

2.実施期間:2024年7月29日(月)事前研修

       2024年7月30日(火)~8月5日(月)現地研修

 

3.参加人数:10名

 

4.訪問場所:カンボジア プノンペン、シェムリアップ