奨学生 12月の月次レポートを掲載しました
2025.01.23
かめのり財団が支援する大学院留学アジア奨学生は、毎月月次レポートを作成し、月ごとの研究の進捗状況や日々の様子を報告しています。HPでは毎月、2名のレポートをご紹介します。
かめのり大学院留学アジア奨学生
月次報告レポート(2024年12月)
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻
博士後期課程(D2)
麻 俊凡 (マ シュンボン)
一、研究について
現在、私は大学の紀要に投稿する論文の執筆に専念しています。指導教員が変更となり、現在は新旧両方のゼミに参加しています。この状況の中で、後輩の修士論文にアドバイスを行いつつ、先輩方からの論文に対する指摘や助言を素直に受け入れ、日々書き続けています。
私の論文は日本における移民問題の一部、「入管収容問題」に関連するテーマで、2019年以降の4つの新聞社の記事を対象に、描画した共起ネットワークを分析しました。これにより、各新聞社がどのような論調で問題を報じたかを明らかにし、さらに、時期別の特徴的な語彙を通じて、ウィシュマさん事件が新聞社の議題設定にどのような影響を与えたのかを探ります。この分析から得られる知見は、修士論文で取り上げた内容とは異なる新たな傾向を示しており、新しい発見につながります。
特に、ウィシュマさん事件を通じて、社会問題の議題設定におけるメディアの役割がどのように変化したのかを検討することは、現代のメディア研究において重要な意義を持つと考えています。この研究を進める中で、指導教員やゼミの仲間たちの意見を積極的に取り入れ、さらに論文の完成度を高めていきたいと考えています。
さらに、今回の研究ではデータ収集や分析に多くの時間を費やしましたが、そうした過程を通じて、社会的課題に向き合う責任感が一層強まりました。また、同じテーマについて他の研究者の論文を読むことで、自分の視野が広がり、新しい発想が生まれることも多々ありました。このように、研究は単なる知識の積み重ねに留まらず、社会とのつながりを深めるきっかけとなることを実感しました。
二、生活について
12月初旬には体調を崩し、熱を出してしまいました。その後、アレルギー性湿疹も現れ、思いのほか長引いてしまいました。同じ研究室のみんなも体調を崩しており、まさに病気の冬といった状況でした。日々の忙しさの中で運動の時間を確保するのは簡単ではないが、意識してストレッチをしています。
月末には、祖母が母と一緒に旅行団体に参加し、日本を一週間訪れました。東京に滞在していた際、私はホテルに祖母と母を訪ねました。以前アルバイトをしていたカフェのドリンクを持ち、自宅近くで見つけたとても美味しいクルミパンも一緒に楽しみました。祖母と母がその味を喜んでくれたことで、自分が好きなものを家族と共有する喜びを感じました。このようなささやかな時間が、家族との絆を深める貴重なひとときとなりました。
祖母は今年で79歳になり、歩く速度が以前よりも遅くなっていることを感じました。高校卒業後の夏休みに祖母と一緒に旅行したときの、元気だった彼女の姿が記憶に残っており、そのギャップを目の当たりにしたことで、時間の流れを改めて実感しました。また、母と久しぶりに会うことができ、懐かしさとともにホームシックを強く感じました。
かめのり大学院留学アジア奨学生
月次報告レポート(2024年12月)
名古屋大学大学院経済学研究科社会経済システム専攻
博士前期課程(M2)
侯 心琦 (ほうしんち)
一、学業について
今月はようやく論文を完成しました。12月上旬にもう書き終わった、と思いきや、それ以来は細かいところを毎週ずつ指摘され、内容の完成から最後の仕上げまで案外時間がかかりました。最初はどう執筆するか、規定枚数に達成できるかと、あれこれを悩んでいたが、コツコツと進めると余裕で規定枚数を超えて、地道な努力は大事だと感じました。
私の論文では、主に四つの分析を行いました。一つ目は、日本と台湾の銀行業界において、銀行の資産規模はその銀行の企業価値にどう関係するか;二つ目は、銀行はシステム上重要な銀行と指定されたら、前述した関係に関してどういう影響を受けるか;三つ目は、前述した関係は銀行のリスクまたは収益率の違いで解釈できるか;四つ目は、2013年以降から施行されたバーゼルⅢという銀行の資本規制は、前述した関係にどういう影響をもたらすか、という順番で検証を行いました。結論としては、まず、日本の場合、非システム上重要な銀行に限り、資産規模と企業価値の間に弱い正の相関があるとわかりました。このような関係は、リスクの二つの代理変数、株式の価格変動性とZスコア(銀行の経営安全性を示す指標)で解釈できます。すなわち、日本の非システム上重要な銀行の場合に限り、資産規模の増加に伴い、株式の価格変動性は減少し、経営安全性は増加するため、企業価値が高まります。しかし、システム上重要な銀行の場合、資産規模と企業価値の間には有意な相関が見られませんでした。
次に、台湾の場合、システム上重要な銀行に限り、資産規模と企業価値の間に負の相関があるとわかりました。このような関係は、収益率の代理変数である一年バイ・アンド・ホールド・リターンで解釈できます。その原因は、資産規模の増加に伴い、一年株式を保有して得られる収益率は上がるが、システム上重要な銀行は非システム上重要な銀行と比べ、そのような収益率の増加が比較的に低いため、企業価値は下がります。バーゼルⅢの影響に関しては、日台とも銀行のリスク軽減に貢献できると想定しているが、銀行の企業価値の向上には貢献できず、むしろマイナス効果があると明らかにしました;この結果から見れば、バーゼルⅢによってシステム上重要な銀行と指定された銀行は、非常時に政府に助けられる恩恵を受けることができるが、そうでないときの法的コストが前述した利点を上回ることが考えられます。
卒業論文の執筆は大変ながらも、学術に浸る楽しさを味わせていただきました。私の拙い論文を修正してくれた指導教員と先輩に感謝しています。
二、生活について
今年はあっという間に終わり、まさに「光陰矢の如し」という言葉のようです。来年は上京して社会人になり、たくさんやることが待っているが、人生の新たな章への期待に胸をふくらませています。今年お世話になった方々に、ありがとうございました。