2020年度 緊急支援助成 実施概要
2021.03.10
コロナ禍で緊急性の高い事業への助成を目的とし、また実施から交付までの期間や助成総額の規模が限られることから、かめのり財団が過去に実施した第 11 回~第 13 回かめのり賞顕彰者に対象を絞った限定公募を行いました。助成審査委員会による選考の結果、2020年7月に6団体への助成が決まり、助成金を交付いたしました。
団体名 | 事業名()内は活動地域 | かめのり賞受賞回 |
特定非営利活動法人 日本・バングラデシュ文化交流会 | 大豆入り加工食品の巡回販売と、小学校児童及び支援者家族に大豆粉の配布(バングラデシュ) | 第13回 |
特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 | 住民参加によるプライマリヘルスケア強化事業(東ティモール) | 第13回 |
特定非営利活動法人 ISAPH(アイサップ) | 子どもを守る、母と家族の母子保健サービス利用促進事業(ラオス) | 第12回 |
学校法人アジア学院 | アジア・アフリカ農村指導者育成事業(日本/栃木県那須塩原市) | 第12回 |
一般社団法人 グローバル人財サポート浜松 | 在住外国人のための介護職員初任者研修(日本/静岡県浜松市) | 第11回 |
特定非営利活動法人 SALASUSU | 新型コロナ禍での自分らしい生活を築くーケアとトレーニングを通じたカンボジア最貧困層女性のキャリア形成プロジェクト(カンボジア) | ※ |
団体名 | 事業名()内は活動地域 | かめのり賞受賞回 |
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特定非営利活動法人 外国人医療センター | 外国人無料健康相談会または感染予防グッズ配布事業(日本/愛知県一宮市) | ※ |
特定非営利活動法人 地球市民の会 | ミャンマー・チン州における遠隔型研修の実施整備事業(ミャンマー) | 第10回 |
特定非営利活動法人 国境なき子どもたち | 脆弱な環境にいる子どもたちの教育支援(フィリピン) | 第9回 |
小さな美術スクール | カンボジア困窮家庭への生活支援(カンボジア) | 第8回 |
特定非営利活動法人 新潟国際ボランティアセンター | 新型コロナウイルス緊急支援 ベトナムロンアン省キムチシェルター教育支援及び食料支援プロジェクト(ベトナム) | 第8回 |
特定非営利活動法人 アクション | コロナ禍での子どものケアに関する保護者の能力強化プロジェクト(フィリピン) | 第7回 |
公益財団法人 PHD協会 | ミャンマーのスラム・パターにおける緊急食糧支援及びCOVID-19感染拡大防止のための啓発活動(ミャンマー) | 第7回 |
一般社団法人 インドネシア教育振興会 | かめのり支援 COVID-19 拡大に打ち勝つヒカリ小の子(インドネシア) | 第4回 |
特定非営利活動法人 LOOB JAPAN | 貧困コミュニティの小学校の遠隔授業サポート(フィリピン) | 第2回 |
実施時期 | 2020年7月に募集を行い、8月に助成審査委員会を実施 |
対象校 | かめのり財団の大学院奨学金の推薦大学において複数の奨学生が採用された9大学 |
結 果 | 18名の学生に総額180万円を支援 |
令和2年度(2020年度)緊急支援助成事業のねらいと経過について
川北秀人(助成審査委員会委員長)
この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大という世界規模での非常事態への対応として、かめのり財団は7月に「緊急支援プロジェクト助成」および「留学生緊急支援金」の2つの緊急助成を実施いたしました。以下にそのねらいと経過について報告いたします。
その目的が緊急性の高い事業への助成であり、実施するタイミングが重要であること、ならびに助成総額の規模が限られていることから、対象を第 11 回~第 13 回のかめのり賞顕彰者(計9個人/団体)に限定して公募を行ったところ、7団体から総額728万円のご申請をいただきました。当委員会による書面選考の結果、6団体に計580万円の助成が決定し、交付しました。
選考に際しては、各団体の従来の活動やその対象者におけるコロナ禍の影響を確認するとともに、申請された活動の目的や実施方法について、緊急性や期待される効果を確認し、評価のポイントとしました。採択された6団体は、日本国内およびアジアの国々で活動をしていますが、コロナ禍における海外渡航の制限によって、日本人の海外派遣や外国人の渡日などの人的移動に支障をきたすとともに、休校や外出自粛の要請によって、各団体の既存事業の活動範囲に制限がかかり、支援対象者(受益者)の収入減少や失業などの大きな影響を受けていることがわかりました。こうした、COVID-19の拡大によって、従来の活動対象者に生じた新たな課題などに取り組む、緊急性の高い活動を採択しました。
採択された活動(図表参照)には、休校により中止になった海外での給食支援活動が、学校閉鎖期間も子供の栄養補強を続けられるよう村々を巡回する活動へ形態を変えたものや、日本国内の在住外国人向けの介護研修を失業者などにも受講できるよう支援し、安定した就労を目指す活動などがあります。
各助成先団体では、採択されたこれらの活動をすでに開始されており、その取り組みの経過については、ご報告をいただき次第、ご紹介いたします。
また、アルバイトなどの収入の大幅な減少により、就学継続に困難を抱える留学生に対する経済的支援を目的とする留学生緊急支援金についても、プロジェクト助成と同様にタイミングが重視であることから、当財団の大学院奨学金の推薦大学から、複数のかめのり財団奨学生が就学した9大学で募集を行いました。
応募した学生たちの経済状況として、アルバイトの収入減の他、本国の家族の失業などにより仕送りが困難になったケースもありました。当委員会で書面にて支給要件などとの確認を行った結果、18名の学生に支援金総額180万円を交付しました。
支援対象となった留学生からは、「自分の住む県がまた非常事態宣言を出すかもしれないから心強い」「大学の寮費に使いたい」といった声をお寄せいただいています。
一方、今後数か月間の見通しとして、事態収束が見込みにくく、課題や困難を抱えた人々の状況のさらなる悪化も想定せざるを得ないことから、緊急支援プロジェクト助成については、第2弾も準備を進めています。
(「かめのりコミュニティ No.35 2020年11月」より再録)