にほんご人フォーラム2018 実施概要

「にほんご人フォーラム2018」(Japanese Speakers’ Forum2018) 概要


1.主催独立行政法人国際交流基金、公益財団法人かめのり財団
2.実施期間教師プログラム 2018年 8月23日(木)~8月31日(金)(9日間)
生徒プログラム 2018年 8月25日(土)~8月31日(金)(7日間)
3.場所Prime Plaza Hotel Sanur(インドネシア、バリ島)
4.参加国インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、日本
5.参加者(1)東南アジア5か国で日本語を学んでいる高校生と外国語学習、東南アジアとの交流に関心を持つ日本の高校生、各国4名、計24名(2)東南アジア5か国の中等教育機関の日本語教師 9名

 


 

ASEAN5カ国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア)の中等教育機関で日本語を教えている教師と日本語を勉強している高校生、そして日本の高校生が、ともに学び交流する「にほんご人フォーラム」。今年は、インドネシア共和国バリ州で8月23日(木)から開催し、教師は7日間、高校生は5日間のプログラムに参加しました。

 

日本語教師たちは

今年のにほんご人フォーラムはこれまでの開催地日本を飛び出し、インドネシアのバリ島で実施しました。5か国から参加した教師は各々の国で、これからを生きる若者たちに必要な能力‐21世紀型スキルをどう授業に取り入れるかについて課題を抱えています。フォーラム中は同スキルを評価するためのアクティブラーニングの理論や思考ツールについて紹介し、教師同士で意見交換、自国で取り組める方法について模索しました。特に「生徒の批判的思考やコラボレーション」の評価方法にフォーカス。生徒プログラムの活動の様子を観察、評価し、教師同士で意見を述べ合い、より使いやすい評価方法にする。日々変化する評価表を見ながら、帰国後にほんご人フォーラムの理念をどう実践するか、多くの気づきを得ることができました。

さらに、ファシリテーターとして4人のインドネシア人日本語教師が協力しました。フォーラムが、現地教師によって自立的に運営されることを目指した試みです。最初はおぼつかない様子でしたが、幾度にもわたる協議や練習により、自らの役割をしっかり捉え運営に参画できるようになりました。フォーラムで得た気づきや学んだ実践方法を多くの現地教員へ広めていくことが期待されます。

 

高校生たちは

6日間という短い期間で、「にほんご人としてできること」という大きな課題に、多国籍の仲間と取り組んだ高校生たち。初日は、初対面・言葉のハードルもあり、緊張した面持ちでしたが、アイスブレークやグループ活動を通じて瞬く間に打ち解けました。バリ舞踊のワークショップでは複雑で難しい指使い、目使いに苦労しながらも見事踊り切り、翌日の交流会は全員で各国の遊びを楽しみました。

課題についても協力して取り組みました。バリ歴40年以上の日本人の講演、日本語を学ぶバリ高校生たちとの交流、日本人観光客に応対するホテルやツアー会社でのインタビューなど。多様なにほんご人と対話し、考えを深めた高校生たちは、発表会前日ホテルのあちこちで集まり、夜遅くまで練習を続けていました。発表会では、映像を駆使したりドラマを演じたりなど、発表方法にも創意工夫が見られました。短い日数の中で、協働して課題に取り組み、工夫し、交流を深めた高校生たち。これからの時代を担う世代として、フォーラムで得た経験を役立たせてほしいと思います。

 

報告:国際交流基金 ジャカルタ日本文化センター副所長 蛭田麻理

(「かめのりコミュニティNo.29 2018年11月」より再録)