【報告】にほんご人フォーラム 2023(マレーシア)~中等教育日本語教師キャンプ
2024.05.10
国際交流基金クアラルンプール日本文化センターとの共催で、2023年8月~9月に「にほんご人フォーラム 2023(マレーシア)~中等教育日本語教師キャンプ」を実施しました。
これは、2022年度に実施した「中等教育日本語教師キャンプ 2022」から続く2カ年の研修プログラムの一環で、マレーシア国内3か所で行ったものです。現地の日本語専門家による実施報告レポートをお届けします。
報告:国際交流基金クアラルンプール日本文化センター
日本語専門家 平田佑和
国際交流基金クアラルンプール日本文化センターでは、かめのり財団とマレーシア教育省の協力を得て、2泊3日の中等教育日本語教師キャンプを南部、北部、中央部の3か所で実施し、85名の教師が参加しました(南部24名、北部22名、中央部39名)。どの会場も参加者同士よい刺激を受けながら積極的に意見交換する様子が見られ、有意義な3日間となりました。
キャンプの目標は「自分の授業をふり返り、授業の目標および教室活動を再考する」「コミュニケーション能力や異文化理解能力を伸ばす教え方や教材について具体的に考える」「情報交換や意見交換をし、ネットワークを広げる」ことで、「ふりかえり」と「体験」をテーマに、「日本語教授法」と「学習者体験」の2つのセッションで構成しました。
中央部・北部の様子 |
日本語教授法のセッションでは、コミュニケーション言語活動である「聴解」「読解」について扱い、生徒の聴解力や読解力を伸ばすための教え方について考えました。また、学習者体験のセッションでは、「会話のロールプレイ」と「朗読」を参加者に体験してもらい、自分達の会話や朗読を評価しました。そして、筆記試験では測ることができない生徒の会話力やグループ発表などをどう評価するか意見を出し合い考えました。そのほか、最終日には、日々の授業の実践を紹介する「アイデア交換会」を行い、グループごとに授業のアイデアや工夫を共有しました。聞いている人が積極的に質問をしたり熱心にメモをしたりしている姿が印象的でした。
南部の様子 |
参加者のアンケートには、「もっと会話や読解などに学び合いを取り入れ、授業改善に力を入れていきたい。自分の授業のどこに問題点があるか改めて明確になった」「予測したり、推測したりするような活動により、生徒の「聞く」と「読む」能力を伸ばしたい」「たくさんの人とネットワーキングができて、日本語で話したり、アイデア交換ができてよかった」「学校でひとりで教えているので、日本語力が下がったり、教え方もだんだんつまらなくなった。今回のセッションに参加できてよかった」といったコメントがありました。
中央部・北部の様子 |
運営側としては、参加者がキャンプで得たことをどのように日々の授業に取り入れているかが気になるところです。今年度は、キャンプ後の実践例を共有するよう促したところ、複数の参加者からレポートや動画で授業での取り組みについての報告がありました。また、授業見学を通じて、キャンプで扱った内容を授業に取り入れている様子を実際に見ることもできました。
教師の実践のふり返りと改善の試みは、教師から生徒へと……。しっかりとつながっています。
最後に、本プログラムにご協力いただいたかめのり財団に心より感謝申し上げます。
南部 集合写真 |
日程 | 南 部:2023年8月14日(月)~16日(水) 北 部:2023年8月21日(月)~23日(水) 中央部:2023年9月11日(月)~13日(水) |
場所 | 南 部:ジョホールバル 北 部:ペナン 中央部:クアラルンプール |
参加者 | 南 部:24名 北 部:22名 中央部:39名 |