(独)国際交流基金ベトナム日本文化交流センター(JFVN)との共催事業として、2023年度に続き、2024年度は「中等教育日本語教師全国研修」をハイフォンにて実施しました。ベトナム全国から中等日本語教師が集まり、1泊2日の研修で21世紀型スキルについての学びと交流を深めました。
企画より参加したJFVNの日本語専門家によるレポートをお届けします。
報告:国際交流基金ベトナム日本文化交流センター
藤長かおる(日本語上級専門家)
藤村春菜(日本語指導助手)
中等教育機関の教師を対象とした全国レベルの研修が、2024年8月6日~7日(1泊2日)にハイフォンで行われました。この研修は、昨年度実施された全国規模のリーダー研修に続くもので、今年は「21世紀型スキルを育成する授業計画」というテーマで行い、教師それぞれが授業案を考えられるようになることを大きな目標としました。このテーマは同年8月に日本で行われた「にほんご人フォーラム」(以下、JSF)と関連づけて選んだものです。
参加者は22名(北部10名、中部6名、南部6名)で、事前に、21世紀型スキル(コミュニケーション能力、コラボレーション力、創造力、批判的思考力など)の育成につながる「学習者中心」の授業のアイディアを書いてくることが事前課題でした。そして、研修では上記の目標を達成するために、次の3つを小目標として定めました。
① 21世紀型スキルの特徴を理解する
② 21世紀型スキルを育成する活動のアイディアを得る
③ 自分の授業での応用方法のアイディアを持つ
研修は次のような流れで行いました。
今回の研修の特徴は、参加した教師全員で協力して一つの授業計画を立てて、生徒を呼んで実際に授業を行ったことです。授業計画では、事前課題の中から「ゆるキャラであなたの町をPR」というアイディアを選び、それをハイフォンの高校生向けに加工しました。その際、JSFで紹介された考え方を利用して、❶「知る」「深める」❷「見る・調べる・体験する」❸「まとめる」❹「伝える」「ふりかえる」という枠組みを用いて、授業を大きく4段階に分けて、グループ別に担当してもらいました。
22名の教師でうまく1つの授業計画を立て実施できるのか? この研修を企画したJFVNの専門家もドキドキしていたのですが、さすが百選錬磨の先生方です。限られた準備時間の中で、楽しい動画を探したり、クイズを作ったり、また見本用のキャラクターを作ったり、グループ間でも積極的に議論を重ねた結果、本当に楽しい授業を行うことができました。授業に参加してくれた生徒も非常に積極的で、ハイフォンの魅力をそれぞれの「ゆるキャラ」を通して伝えてくれました。
授業後のふり返りセッションでは、教師の役割や授業計画のポイントについて話し合ったあと、これから自分の授業でやってみたいことを考え、グループで共有しました。多くの先生が、具体的に楽しいアイディアを見つけたようでした。
最後に、研修参加者のアンケートを引用します。「21世紀に必要な能力とスキルを理解し、他の教師と一緒に21世紀型スキルを育成する授業のアイディアや活動を共有できる。特に、今回の研修では、実際に生徒が参加する授業を行うことで、教師が教案を試し、授業をふり返ることができ、多くのことを学ぶことができた。」研修に参加された先生方が、各地域で活躍をされ、ベトナムの教室での学習活動が豊かなものになっていくことが何よりの楽しみです。
最後になりましたが、昨年度に引き続き、本研修の実施を支援してくださったかめのり財団に、心から感謝申し上げます。
実施概要
にほんご人フォーラム ベトナム中等日本語教師全国研修2024
日程:2024年8月6日(水)~8月7日(木)
会場:Sao Maiホテル、ハイフォン市
参加者:ベトナム国内の中等日本語教師 22名
北部 ハノイ6人、ハイフォン4人
中部 フエ3人、ダナン3人
南部 ホーチミン3人、バリアブンタウ3人