にほんご人フォーラムinフィリピン オンライン2022
2022.02.12
(独)国際交流基金マニラ日本文化センターとの共催事業。昨年の「にほんご人フォーラムinフィリピン オンライン2021」に引き続きオンラインで2回目となるフォーラムを行った。前回はフィリピン人生徒のみの参加であったが、さらににほんご人同士の交流を広げるため、今回は日本から日本人生徒5名もオンラインで参加し実施された。
実施期間 | 2022年1月16日(日) |
場所 | Web会議システムを利用しオンラインにて開催 |
参加者 | フィリピン人中学生・高校生 19名 日本人中学生・高校生 5名 フィリピン人教師 19名 |
国際交流基金マニラ日本文化センター は、フィリピンの公立中等教育機関で行われている第二外国語としての日本語教育支援を行っています。「にほんご人フォーラム in フィリピン(以下:JSFP)」は、日本語学習奨励イベントとして、かめのり財団とともに2013年から毎年実施してきた「日本語を使い何かを達成する」ことを目指す「にほんご人」同士の相互交流イベントです。新型コロナウイルスの影響により、フィリピンでは2020年3月以降厳しい外出制限が敷かれ、18歳以下の子どもの外出が禁止され、学校も閉鎖される日々が続きました。そのような状況下でも自宅学習に励む生徒やそれを支える教師同士がつながり、学習成果や目標を改めて感じてもらえるような機会を設けたいと思い、2021年5月に初のオンラインでのJSFPが実施されました。そして、今回実施されたJSFP2022は、オンラインでの2回目の実施となるため、さらに多くのにほんご人をつなぐことを目指し、日本に在住する日本人中高生5名も参加し行われました。
従来からJSFPの企画運営はフィリピン公立中等教育機関の現役日本語教師と協働で行っています。JSFP2022のテーマは教師たちの提案により、「コロナ禍の経験を経てさらに前向きに進もう」という思いを込めて “Strengthening Collaborative Positivity : Let’s Move Forward あかるいみらいをつくろう”(*1英文訳: みんなで協力しもっとポジティブに前へ進もう) に決まりました。参加生徒はZoomのブレイクアウトルームに5~6名ずつ分かれ、フィリピン人教師のリードのもと、英語、日本語を使用しながら、それぞれが思うPositivity(ポジティブさ)について考えを共有し、どのような行動をとっていきたいか、どのような未来を作りたいかを話し合い、テーマに関するスローガンやハッシュタグ#(*2 SNSで使用される検索可能なキーワード)を考えて、ポスターやスライドにまとめて発表しました。オンラインで話し合いを行いながら同時にポスターやスライドを作成する作業は、コミュニケーションだけでなく、ICT技術も求められる作業です。それでもフィリピン人生徒たちは分かる日本語を積極的に口に出し、日本人生徒も英語で自分の考えを伝えようと努めていました。「#とてもとおい、でもちかいです」「#きぼうにみちたゆめをもとう」「#あかるいきもちですすもう」、これらは生徒たちが話し合いの中で考えたスローガンとハッシュタグです。各グループがこれらの言葉に込められた思いや願い、希望を英語と日本語で発表しました。
今回のJSFPは直前にフィリピンで台風による大きな被害が出たり、新型コロナウイルスの感染が再拡大するなど大きな困難を伴いましたが、生徒たちの発表はそれら全てを吹き飛ばすポジティブなものでした。また、フィリピン人生徒、日本人生徒にとって、オンライン上での交流、自分の考えが相手に伝わるように必死に取り組み、そして何かを達成したという経験はとても貴重なものになったと思います。私たち主催者にとっても新型コロナウイルスにより今後も先が見えない状況の中で、できることに前向き取り組んでいくことの大切さを生徒たちから学ぶフォーラムになりました。最後に、本フォーラムにご協力いただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
報告:国際交流基金マニラ日本文化センター日本語専門家 大日方 春菜
(「かめのりコミュニティ No.39 2022 年3月」より再録)