かめのり地球青少年サミット 2016が、2016年2月11日(木)から国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区代々木)にて実施されました。今年度は、香港中文大学、デ・ラ・サール大学(フィリピン)から招へいされた8名の大学生と日本の大学生、留学生、計18名が参加し、『アジアの将来に向けた課題と展望 ~ワン・アジアを目指して~』のテーマのもと、「政治・社会」「経済」「環境」「教育」の四つの分野についてグループ研究を行いました。そして、最終日2月14日(日)に、同会場の国際交流棟にある国際会議室にて一般の聴衆を迎えて研究発表会を行いました。
2月11日(木)「かめのり地球青少年サミット2016 [KEYS 2016]」の初日、日本の大学に在籍中の大学生/留学生が集合し、前日入りしていた香港中文大学、デ・ラ・サール大学の学生たちと合流。18名の参加大学生が揃いました。初めに、公益財団法人かめのり財団 康本健守評議員による歓迎の挨拶とオリエンテーションが行われ、各自簡単な自己紹介をしました。
その後、香港中文大学 法学部ブライアン メルキュリオ教授(Prof. Bryan Mercurio)が『TPP:アジアにおける安定性と予測可能性への影響(The Trans-Pacific Partnership: Effect on the Stability and Predictability in Asia)』という題目で基調講演をされました。
続いて、デ・ラ・サール大学 スクールオブエコノミクス、テレソ トゥーラオ教授(Prof. Tereso S Tullao. Jr.)による講義『アセアン・東アジアにおける地域統合に向けた手段としての教育(Education as an Avenue for Regional Integration in ASEAN and East Asia)』にて、アジアにおける教育の現状、将来性と課題について講義を受けました。
先の基調講演も、この講義も教授の参加生への問いかけから始まる参加学生と教授との対話により講義が進みました。また、Q&Aセッションでも、参加学生のみならず、一般聴講の大学院生からの質問もあり、とても活発な講義となりました。
初日の講義終了後、国際基督教大学教養学部教授であり、今回のKEYS 2016実行委員であるステファン ナギ教授(Prof. Stephen Nagy)から、最終日の発表に向けてプレゼンテーションスキルについての講義を受けました。その後、歓迎会として日本食の夕食をとった後、交流会にて自己紹介やゲームで交流し、初日を終了しました。
2月12日(金)2日目はまずステファン ナギ教授による講義『東アジアの統合?地域化への基盤としての環境協力(East Asian Integration? Environmental cooperation as a platform for regionalization)』から始まりました。一国では解決しえないアジアの環境問題について考える時間となりました。
講義の後、バスで視察プログラムに出かけました。まずは新宿 新大久保のコリアタウンに向かい、新宿韓国商人連合会 会長 呉永錫氏にコリアタウンの成り立ちをうかがいました。コリアタウンの散策と昼食で韓国料理を楽しんだ後、板橋区立エコポリスセンターへ移動。環境を考慮した設備がそろった施設の見学の後、ワークショップにて、「ペットボトルのお茶を飲む」ことがどれだけ環境を汚染するか、どのように防ぐことができるかをグループワークにて考えました。
最後にイスラム教のモスク(寺院)である渋谷区代々木上原の東京ジャーミーを訪れ、寺院/礼拝を見学し、アジアにも信仰者が多数いるイスラム教とイスラム教徒について学びました。
2月13日(土)早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員の安藤裕子氏より『The conflict between historical memories over Hiroshima and Nagasaki(歴史の記憶の相克~ヒロシマ・ナガサキをめぐって~)』の講義を受け、原爆の歴史がどのように受け止められてきたかを学びました。その後、3日目はグループ研究日として、最終日の発表に向けて準備を行いました。学生たちはサミットが始まる前からメール上で意見交換をしていましたが、翌日の発表に向けて一層議論に熱が入り、寝る時間を惜しんで、発表の準備をしました。
2月14日(日)最終日には研究成果発表会が行われました。学生達はグループ毎に以下の研究テーマにて発表しました。
グループ | 研究テーマ |
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政治/社会 | 南シナ海における領域紛争(The Territorial disputes in the South China Sea) |
環境 | 市場経済においてクリーンエネルギー源の開発と活用はどのように促進できるか?(How can we promote the development and utilization of clean energy sources in the market economy?) |
教育 | 公教育システムと私教育システムの隔たりの間の橋渡し(Bridging the Gap of Private and Public Education system) |
経済 | アジアの人身売買問題に対処する地域的な取り組み(Regional Measures in Addressing the Incidence of Human Trafficking in Asia) |
発表後、アカデミック・アドバイザーからそれぞれのグループに対する講評をいただいた後、アカデミック・ディレクターより総評をいただきました。
研究成果発表会の後の懇談会では、これまで一緒に研究してきた参加生、基調講演・講義をおこなってくださった教授の方々、研究発表会を見学してくださった方々、および財団の役員とスタッフが交流する中、香港、フィリピンの学生がそれぞれの自国紹介をしてくれました。懇談会は終始和やかな雰囲気にて行われ、KEYS 2016は終了しました。
2月15日(月)~2月17日(水)KEYS 2016終了の後、香港中文大学、デ・ラ・サール大学から参加した学生は観光プログラムとして、箱根/富士ツアーに参加。観光プログラム2日目は風鈴の絵付け体験、江戸東京博物館見学の後、東京を散策し、17日(水)に帰国の途につきました。
短期間ではありましたが、国籍の異なるアジアの学生達が議論を交わしつつ協働し、ひとつの研究成果を作ったKEYS2016は参加学生にとって大きな経験と達成感をもたらしました。
彼らには引き続き交流を続けてくれることを期待すると共に、彼らが将来国境を越え、アジアにて活躍してくれることを大いに期待します。