【奨学生】夏の研修交流会を富山で行いました

 (公財)かめのり財団では毎年 9 月に、大学院奨学生の研究の進捗発表と相互交流の促進を目的とする研修交流会を行っています。今年は 、2024年 9月3日(火)~5日(木)の 3 日間、富山市内にて実施しました。参加した奨学生3名のレポートをお届けします。

 


 

2024年夏 最後の研修交流会・初めての富山

 

名古屋大学大学院経済学研究科 

博士前期課程2年 侯心琦(ホウ シンチ)

 

 かめのり奨学生としての最後の研修交流会、3日間を通して最高の思い出を残しました。去年はあいにく台風のため、予定より早く帰ってしまったが、今回は最後まで予定通りに進んで、色々手配してくださった谷本さんに感謝しています。富山といえばますのすし、という粗雑な認識しかなかったが、今回はご当地グルメから伝統文化、自然景観まで、富山の多面的な魅力を感じました。

 

 一日目は富山につき、早速地魚のゲンゲの定食を美味しくいただき、研修交流会をはじめました。みなさんの研究分野が多岐にわたり、それぞれの発表が興味深く、かめのり奨学生の多様性と優秀さを改めて実感しました。ワヤンさんは脳の認知機能を向上させるココナッツオイルを研究しており、そしてグェンさんは在日ベトナム人の子供たちのために日本語教育を研究しており、いずれも母国や社会全体に貢献する素敵な研究でした。ケンさんの発表は公共の教科書において「国家」の論じ方を議論し、自分の高校時代の経験を照らし合わせて聴くと、非常に考えさせられる内容でした。また、去年は曹さんや陳さんの発表内容に追いつかなかったが、今年はきちんと理解できたから、自分の成長も感じました。OGの孫さんと趙さんのミニ講義はとても充実した内容で、西田常務理事の特別講義では人生の在り方をどう見つけるかを教えていただきました。

 

 三日目の観光には地元のガイドさんが付いており、富山の歴史や文化、方言、お土産など、非常に詳しく説明してくれたおかげで、バスの移動時間も充実に過ごしました。まず庄川峡遊覧船に乗り、美しいエメラルドグリーンの峡谷が水面に映り、目の前に広がる絶景に心を奪われました。季節の移り変わりに伴い姿が変わる庄川峡は、何度でも訪れたいスポットです。庄川峡から紆曲した山道を通り、五箇山の菅沼合掌造り集落に着きました。観光客に一番人気な白川郷と比べて、ここは規模が小さいが、丁度いい混み具合で快適に観光できました。「塩硝の館」と「五箇山民俗館」の内部を見学し、合掌造りの構造や壁の作り方、昔に栄えていた塩硝産業の歴史などを知りました。そしていなみ木彫りの里創遊館で初めての彫刻体験をし、名物である十段ソフトクリームをグェンさんとシェアしていただきました。 

 

 研修交流会が終わったのも、来年かめのり奨学生を卒業するのも、名残惜しい気持ちでいっぱいだが、この2年間に教わったことを生かし、かめのり財団の精神を肝に銘じて国際社会で活躍・貢献してまいります。

 

 

 

 


 

三日研修記in富山

 

お茶の水女子大学大学院・比較社会文化学専攻

博士二年・曹怡(ソウ イ)

 

 今回の夏の研修交流会は富山で行われた。久しぶりに北陸地方の風光を味わい、旅を満喫できた。

 初日は東京駅から出発し、新幹線で約二時間かけ、富山市に到着した。昼のコース料理に珍しい揚げ魚を食べた。今回は日本海側から採った新鮮な魚や白海老など、普段あまり食べたことのない海鮮をいっぱい味わった。鮮度が抜群で、北陸ならではの楽しみであった。

午後から研修会が始まった。私が一番目の発表であったため、最初は緊張だった。過去一年間の研究を振り返りながら、どうすればより分かりやすく説明できるかに工夫を凝らした。みんなから去年の発表よりわかりやすく理解できたというコメントをもらい、本当に嬉しかった。みんなの発表は、社会学、教育学など、様々な分野の内容を勉強できる貴重なチャンスだと思う。その後、OG孫さんからミニ講義を聞いた。孫さんは論文の投稿計画、就職の面接などの注意点など、色々と自身の経験を紹介した。すごく励みをもらった。

 二日目は午前から研究発表会の続き。タイムキーパーを担当しながら、みんなの発表を聞き、初日より積極的に質問をした。経済学、環境学など、全然違った領域だが、この分野はこのような研究方法があった、みんなそれぞれはこのような考えを抱いたなど、感慨深く、色々勉強になった。また、OG趙さんから非常勤講師としての経験や、西田先生からの人生の啓発的、励みのある話を聞けて、これからの道に少しに落ち着いた感じがした。

 その後、陳さんたちと一緒にレンタカーでドライブに行った。写真一は富山港から見えた綺麗な景色だった。前方は遠く雲に隠された雄大な立山連峰で、左は果てのない碧色の日本海で、真ん中は新湊大橋である。下の海王丸パークで散歩しながら、のんびり時間を過ごした。夕飯は居酒屋で、その後みんなとカラオケも行った。多人数でカラオケに行くのはなかなかのチャンスであり、みんなの歌声を聞けて、本当に楽しかった。

 三日目は一日中富山観光だった。貸し切りバスで道中の景色も楽しめた。まずは遊覧船に乗って庄川を散策した。写真二は船で撮ったものである。天気が良かったため、青い空と碧色の川がくっきり分かれた。太陽の反射か、川の水めいた空気か、区別できないぐらいぼんやりしている。両岸のみずみずしい緑の中、鏡のような川に橋などの倒影を見て、ゆったりと流れる時間が心を癒やしてくれた。それから、五箇山合掌の里に到着した。写真三は村で撮ったものである。ここの合掌造りは昔岐阜県で観光した白川郷合掌村とやや違い、建物はそんなに大きくない。合掌造りの急勾配の屋根は、極めて特異であり、合掌造り集落は世界文化遺産にも登録されたのである。午後は木彫り体験した。初めての木彫りで、道具を使いこなすのが難しく、最後まで頑張って彫って、個性のあるネズミの作品ができた。ただ一心に彫っていた時に、ストレス発散にもよく、木彫りの魅力を触れることができた。その後、ますのすしミュージアムで見学した。珍しい弁当容器や貴重な旅の携帯品の数々が展示され、鱒寿司が富山名産としてその歴史が紹介された。帰りの新幹線で鱒寿司弁当を味わい、鱒のうまみがご飯にしみ込み、一口一口に止まれないほど驚いたおいしさであった。

 最後に東京駅でみんなと別れ、今回の研修が円満に終幕を降りた。充実した三日間だった。今年の夏の最高な思い出!

 

 

 


 

初めての北陸で、初めての研修会

 

筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教育学学位プロブレム

博士後期1年 甄卓榮(YUN Cheuk Wing)

 

 今回の研修会のおかげで、初めて日本海側を訪れることができました。日本に来て一年半ほど経ちますが、新幹線に乗ったこともなかったので、ワクワクしていました。9月3日の朝、前夜まで論文に没頭していた私は、つくばから東京駅に急ぎ、9時半頃に北陸新幹線の改札前で仲間と合流し、富山へ向かいました。中国で乗った高速鉄道と比べると、新幹線の料金はやや高めですが、座席は広く、乗り心地も素晴らしかったです。間もなく埼玉、群馬、長野を通り過ぎ、遠くに白く輝く日本海が見えました。逆側の窓には、立山連峰が雲に隠れながらも、富山市の山に囲まれた様子が見えてきました。電車を降りて駅を出ると、整然とした駅前広場を走る路面電車が目に入り、想像以上に活気ある街並みに驚きました。

 

 観光は後回しにして、最初の二日間は奨学生同士の研究交流会が行われました。それぞれ異なる分野を研究しているため、私も素人でも理解できるよう発表内容を工夫しました。これにより、自分の研究を見直すきっかけにもなり、貴重な経験でした。私は博士研究の基盤である批判的教育学や政治人類学の理論を、「公共」科目に関連付けて発表しましたが、他の奨学生の発表を通じて、異分野の研究方法から学べることの多さに気づかされました。文学、新聞学、金融学、社会学、栄養学といった多様な分野の研究が一堂に集まり、素晴らしい学びの場となりました。何よりも、若い研究者たちの熱意とその迫力に感動しました。お互いの研究を知ることで、親交も深まりました。これまであまり話す機会のなかった奨学生とも良い友達になり、研修が終わった後には一緒にカラオケやラーメンを楽しむなど、充実した時間を過ごしました。

 

 最後の一日は富山観光を楽しみました。地元の魅力を存分に味わうことができ、景色も食べ物も素晴らしかったです。しかし、その中でも特に印象に残ったのは、五箇山の合掌造りの家で行われていた塩硝生産の歴史です。私の研究テーマである近代国家に関わる内容だったからです。考えれば考えるほど深く意味を持つ歴史で、硝石は戦争にしか使われないものですが、動植物から複雑な手法で抽出されて生産されていました。この産業化により村は事実上、近代経済や戦争のシステムに組み込まれていったのです。近代国家の拡大という視点から見ると、とても興味深い事例でした。山を越えて五箇山を訪れ、この歴史を間近で学ぶことができたのは、新しい視点を得る貴重な経験となりました。